ドミンゴ・クーラはボンボ奏者(アルゼンチンの民族打楽器)として40 年代半ばよりウーゴ・ディアス、アリエル・ラミレス、メルセデス・ソーサ、アストラ・ピアソラ、ガトー・バルビエリなど数々の大物ミュージシャン達のためリズムを紡ぎだし、クロスオーヴァーを行ってフォルクローレに革命を起こした新進的な打楽器奏者である。古くからのアルゼンチン音楽ファンには説明不要のミュージシャンだが、若い世代において、とりわけレア・グルーヴ以降の音楽探求で、刺激的な新しい音を求め世界に目を向け たDJ 達によって中南米音楽が再び見直されている昨今、その中の「大いなる再発見」としてクーラが脚光を浴びることになった。
多様で芳醇な音楽背景を持つアルゼンチンには、スピネッタ、モノ・フォンタナ、フアナ・モリーナ、カブサッキの音響派(?)などなど刺激的な現行アーティストが沢山いるのだが、そのセンスの水流を辿るとドミンゴ・クーラの諸作品、また彼が深く関与したエドゥアルド・ラゴスの『Asi Nos Gusta』(1969)に必ず出会うことになる。後者はアルゼンチン・フォルクローレ革命の金字塔として名高い。
クーラ初のリーダー・アルバムは彼が40 代半ばの1971 年に発表されたが、その1 曲目を飾ったのが今も数々のDJ 達をノックアウ トし続けている「Percusion」だ。この14 分近い大作は打楽器の多重録音と編集によってリズムが刻々と変化し、祭儀的トランス感に誘うとんでもなくヤバイ作品。これを筆頭に、今回のアンソロジーでは、彼が発表した全4 枚のソロ・アルバムから、彼の革新性と妙技とが光る打楽器が前に出たトラックをコンパイルし、聴くことも難しい貴重曲も収録。チャカレーラ、カンドンベ、マランボ、カルナバリートといった中南米のリズムが飛び交い、アフリカをルーツに持つポリリズム感、彼をサポートするフォルクローレの革新 者達のプレイのコンビネーションがひたすら素晴らしく、複雑でディープなリズム探求を続ける現在のクリエイター達にも刺激を与えることだろう。なお、この刺激的なカヴァー・アートはフィンランドのミュージシャン/アーティスト、クープー(Kuupuu)ことヨナ・カランカの手になるもの。
Tracklist
Side-A
1. Percusion (D. Cura) 13:48
2. Anoranzas (Chacarera doble) (J. A. Jerez) 3:13
3. La Vieja (Chacarera) (Hnos. Diaz) 2:26
4. Mincura (Candombe) (D. Cura) 4:05
Side-B
1. Viento Norte (Malambo Norteno) (D. Cura) 3:32
2. La Trunca Norte (Chacarera) (Oscar Alem) 2:03
3. La Pesca Del Indio (Carnavalito) (Kelo Palacios) 2:50
4. Vidala De La Copla (Chaya) (Chango Rodriguez) 2:17
5. Huaico Hondo (Escondido) (Pedro Contreras) 2:17
6. Golpes De America
(Improvisacion sobre ritmos Americanos) (D. Cura) 4:20
7. Juana Azurduy (F. Luna - A. Ramirez) 7:20
REVIEW
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