MICHELLE HELENE MACKENZIE & STEFAN MAIER『Orchid Mantis』と OLIVIA BLOCK『Breach』。Portraits GRM のスプリット・シリーズ。

MICHELLE HELENE MACKENZIE & STEFAN MAIER - Orchid Mantis
Michelle Helene Mackenzie と Stefan Maier による『Orchid Mantis』は、台湾北部に廃墟のまま放置されていた三芝飛碟屋の歴史からインスピレーションを得た作品です。三芝飛碟屋は「UFO ハウス」とも呼ばれる 1978 年以降に海辺リゾート開発の一環として建設されるも未完のまま 2008 年まで放置されていた、フィンランドの建築家 Matti Suuronen による「ポッド」を集合させた未来派住宅です。建設中に数々の事故が発生し、幽霊が出るという噂が絶えなかったため、このプロジェクトは 1980 年に中止されましたが、この廃墟には昆虫が生息しはじめ、特に５種のランハナカマキリが生息していました。
ユートピア的な建物、増殖する昆虫、そして敷地を奪い取る植物で構成されたこの奇妙な環境こそが、Michelle Helene Mackenzie と Stefan Maier の音楽のための想像上の空間として機能しています。彼らの音楽は、注意深くデザインされていく中で、共鳴と鳴動を通して繊細な音素材を引き出し、驚くほど容易かつ優雅に私たちをさまざまな世界へと導いてくれます。

OLIVIA BLOCK - Breach
アメリカの作曲家 OLIVIA BLOCK による『Breach』は、フィールド・レコーディングとシンセサイザーによる音の対話を通して、人間の活動によって生存がますます脅かされている野生空間への強い問いかけをしています。
この作品は、南カリフォルニアのメキシコ側にある、東太平洋のコククジラの繁殖地として知られているサン・イグナシオ・ラグーンで収集された録音に基づいています。精密な電子機器の助けを借りて、音楽は漂流するように展開し、アントロポセンの騒音に巻き込まれたクジラの主観的なサウンドスケープを描き出しています。
OLIVIA BLOCK は特に耳音響放射を用いて、これら大型海洋哺乳類の生息地における人間によって引き起こされた音の飽和を表現していますが、単なる描写や主題を超越し、リスナーを新たな方法で魅了する音楽を提示することに成功しています。

Tracklist
1. Michelle Helene Mackenzie & Stefan Maier - Orchid Mantis
2. Olivia Block - Breach