JUDITH HAMANN によるシンセサイザー、オルガン、声、環境音を、ピュアで包み込むようなチェロの音色とともに構成したエレクトロアコースティック作品『Aunes』。

JUDITH HAMANN の『Aunes』。オーストラリアの放浪するチェロ奏者、作曲家、演奏家である JUDITH HAMANN のソロ・アルバム『Aunes』。数年にわたってさまざまな国で録音された 6 つの作品が収録されています。以前の作品でも聞かれたコラージュ技法と拡張されたサウンド・パレットを発展させ、『Aunes』ではシンセサイザー、オルガン、声、ロケーション音を、JUDITH HAMANN のチェロによる眩いほどにピュアで包み込むような音色とともに構成しています。

この作品タイトルは、布地の古い計測単位に由来しており、単位は国や素材によって異なります。共和国文書保管所にある不動の基準として保管されたプラチナのメートル・バー (アルシーヴ原器) とは違い、旧単位の 'aune' (オーヌ) において絹とリネンとでは異なり、計測単位は素材から切り離すことはできませんでした。同じように、JUDITH HAMANN が「歌」と考えるこれらの６つの作品では、チューニング、テンポ、旋律、音色などの形式的な側面は、使用される楽器や音、さらには音楽が作られた場所やコミュニティから切り離せないものです。

教会のオルガンと反響する教会の空間での足音や雑踏が幻影の伴奏を形成する、静寂との繊細なデュエット、野外ミサに向かう丘の上の散歩でのフィールド録音は、環境音が空間と時間の中で折り重なり、ドキュメンタリーとしての機能が脱臼して夢のような効果を生み出し、JUDITH HAMANN の柔らかく歌いハミングする声のトーンの親密な脆さや、マイク越しにサラサラと音を立てる衣服など、演奏する身体の存在感を知覚でき、物質的な条件から切り離せない音楽というアイデアは、この作品の基盤となっています。

JUDITH HAMANN が喘息発作に苦しんでいる間に録音された口笛から構成される曲、ほんのわずかな糸で繋がっているような曲、豊かなシンセハーモニー、オーバーダビングされた声と、正確に調律されたチェロの無限の深みとハーモニーの豊かさを組み合わせ、哀愁漂わせゆったりと弧を描く曲など、どれも素晴らしいエレクトロアコースティック作品に仕上がっています。


Tracklist
1. by the line / 2. Casa Di Riposo, Gesu’ Redentore / 3. seventeen fabrics of measure 06:15 / 4. bruststärke (lung song) / 5. schloss, night / 6. neither from nor towards