WILLIAM BASINSKI の『The Disintegration Loops』。2013年リリースにも5CD+DVDのボックスセットでリリースされた、音響詩人 WILLIAM BASINSKI の 名作『The Disintegration Loops』シリーズ４部作 (2012年のリマスター盤) の第１弾が、135mm角のゲートホールド紙ジャケット仕様にて Temporary Residence Ltd より再発。こちらは『The Disintegration Loops』シリーズ第１作品。

自身のレーベルから過去にCDRとしてリリースされたものがCD化。1982年に制作したアナログテープにあるものをデジタル化して整理していた時に、記憶から去られていたシネマチックでアメリカの田園風景のようなのどかな素材を発見して、別の素材を Voyetra のレコーダーからひっぱりだしてミックスしながらCDへと録音していった。

そして驚いたことに、そのテープループが自動的に崩壊していくことに気付く。その現象は、テープが回転することによって酸化した鉄粉が剥がれ落ち、テープのところどころが裸になってプラスティックがむき出しになっていくことを。そして、その部分は、サインレンスとして録音されていく。その事態を目にして、音楽がまるで死とともに録音（再生）されていくように感じたが、それがあまりにも切なく感動的で、神秘的にさえ思う程の衝撃を自らが受ける。

バシンスキーは、9.11にワールドトレードセンターが崩壊した直後にブルックリンの自宅の屋根の上で、黒煙があがるのをずっと見つめながらこの作品を聴いてた。この作品は、9.11の悲劇によって亡くなったすべての人に捧げられている。

Tracklist
1 d|p 1.1 63:00
2 d|p 2.1 11:00