ノルウェーの実験的電子音楽家・DEATHPROD こと Helge Sten による、キャリアを決定づける驚異的な作品『Sow Your Gold In The White Foliated Earth』。

DEATHPROD の『Sow Your Gold In The White Foliated Earth』。ハリー・パーチの楽器のための『Sow Your Gold In The White Folliated Earth』は、作曲家に Harry Partch (ハリー・パーチ) の音楽的遺産を発見・発展させる機会を提供する「Pitch 43_tuning the cosmos」の一環として、Ensemble Musikfabrik からの委嘱で、30年以上のキャリアを通し揺るぎない評価を得ている、ノルウェーの著名な実験的電子音楽家・DEATHPROD こと Helge Sten により作曲されました。分類不能なアルバムで、Harry Bertoia、Harry Partch、インド伝統音楽、Michael O'Shea などに興味があるなら、必聴の一枚です。

このプロジェクトは、DEATHPROD こと Helge Sten に、先駆的な前衛作曲家ハリー・パーチが自ら設計・特注した特注楽器、すなわち純正律に調律された楽器を演奏する機会を与え作曲を委嘱するというもので、彼が作曲した作品は、当初ケルンを拠点とする Ensemble Musikfabrik による演奏のみを目的とし、2015 年から 2018 年にかけてヨーロッパ５都市で開催されるコンサートのためのものでした。

しかし、ここに収録された『Sow Your Gold In The White Foliated Earth』は Ensemble Musikfabrik の演奏ではありません。Helge Sten はケルンの楽器室で昼夜を問わず独りで過ごし、自ら楽器を演奏し、録音を重ね、エフェクトを一切かけずに編集することで、Ensemble Musikfabrik が演奏するための「オーディオスコア」を作成しました。その「オーディオスコア」が本作品です。後にプロのアレンジャーと協力して詳細なスコアが作成されています。

楽器の考案者 ハリー・パーチの最大の関心は微分音にあり、これは西洋の音楽指導者たちが音楽を 12 音程で統一すべきだと定めた平均律への反発で、多くのアーティストがそのシステムを打破しようと試みてきました。それは依然として音楽環境の可能性を制限し、目に見えない支配力ともなっています。20世紀の多くの前衛作曲家が平均律の改変を試みましたが、ハリー・パーチは全く異なる調律法、はるかに多くの音程を許容する古代のシステム、すなわち純正律に魅了されました。

微分音は中国、中東、インドの古典音楽といった非西洋音楽に馴染みのあるもので、西洋の覇権主義的な論理を打ち破り、複雑な感情表現の扉を開く柔軟性を示唆しています。 近年では、Kali Malone 周辺をはじめ、Duane Pitre、Caterina Barbieri、Ellen Arkbro、Mark Fell、そして Aphex Twin といったアーティストが純正律を徹底的に練り上げ実験し、現代の実験音楽へ再編する動きに貢献しました。

Helge Sten は 10 代の頃、アメリカの理論家であり楽器製作者でもあるハリー・パーチのアウトサイダーな実験音楽に魅了されました。美術学校で電子音楽とサウンドアートを学ぶも、アコースティック楽器の経験はほぼなく、楽譜の読み書きもできませんでしたが、ノルウェーの音楽シーンでカルト的な人気を得ています。

Tracklist
1. I O 03:30 / 2. II O 01:55 / 3. III O 02:29 / 4. IV O 04:27 / 5. V O 02:27 / 6. VI O 04:44 / 7. VII O 04:06 / 8. VIII O 02:22 / 9. IX O 03:26