“ザ・マスター・オブ・ミステイク”こと工藤の書くスコアを基に、常に変化する演奏陣による崩壊寸前の揺らめくアンサンブルと美しいメロディとの対比が生み出す、ロック、現代音楽、ジャズ、フォーク、サイケを飲み込んだ唯一無二の音楽は、自らのレーベル、ジオグラフィックの1stリリースにマヘルを選んだパステルズを筆頭に、前作ライヴ盤に参加したジム・オルーク、ビル・ウェルズ (共演作あり)、テニスコーツ、ティーンエイジ・ファンクラブ、マウント・イアリ、レッド・クレイオラ、ディアフーフら信奉者も数多く、UK、アメリカ、オーストラリアなど何度となく海外ツアーを行っている。
キャルヴィン・ジョンソン主宰の K レーベルより、ロング・セールスを続ける『他の岬』に続く第2弾リリースのこのアルバムは、工藤により2005年から7年にかけて作曲された200曲超を、欧州最大規模フェス、ロスキルデ出演も含む2007年ヨーロッパ・ツアー時にシェルブールにて、「初見プロジェクト / sight reading project」スタイルにより日本からの9名プラス現地のミュージシャンとで録音。「ミュージアムに行って一枚一枚絵を見ていくような体験と重ねてもらいたい」というコンセプトにより、均等に曲間を10秒ずつとり、最短数秒、最長でも3分という極端なショートピースを収録。ロック的なざらついた感触が印象的だった前作と比して、ジオグラフィックからの名作『今日のブルース』にも通じる柔らかで暖かい質感と贅沢に断ち切られてゆく童謡のように親しみやすいメロディが全編を貫き、あまりにアヴァンギャルドな構成ながら全体としてはポップという印象すら受ける驚異的な仕上がり。
※ K 盤の2枚組CD177曲に加え、日本盤のみさらに同セッションからのアウトテ イク集をボーナス・ディスクとして収録した3枚組仕様。前代未聞の収録曲数。
REVIEW
Related Items
-
-
DIE LIKE A DOG / Fragments of Music, Life and Death of Albert Ayler (2LP)
-
BRÖTZMANN | VAN HOVE | BENNINK & MANGELSDORFF / Outspan No. 1 (LP)
-
-
PETER BRÖTZMANN / MISHA MENGELBERG / HAN BENNINK - 3 Points And A Mountain (LP)
-
-
-
柳ジョージ+NADJAバンド / 祭りばやしが聞こえる (George Yanagi+NADJA BAND / Matsuri Bayashi ga Kikoeru) (LP)
-
-
-
-
森山威男 / スマイル (Takeo Moriyama / Smile) (LP - Clear Sky Blue Vinyl)